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人がまだ住んでいなかった時代の菅平はブナという樹木の森でおおわれていたと考えられています。その後、人々がこの地に暮らすようになり、樹木を伐採し家畜の放牧や農耕をくり返している間に、現在見られるような自然に変化してきました。現在でも、スキー場を広げたりグラウンドなどを造ることにより、自然の姿は変化しています。
そこで、私たちはこの場所に菅平本来の自然であるブナ林を復元しようとしています。そのため、園内の大部分にブナの木を植えてあります。ブナを植えたあとはなるべく人の手を加えないで、鳥が運んだり、風によって散布された種子から芽生えた植物が森をつくるよう、自然のままにしてあります。やがて、ブナが大木になる頃には、虫や小鳥、けものなどが住みついて、菅平に昔からいた生き物達の森ができるでしょう。いまでも、アカゲラが巣を作り、カモシカが餌を探すほどに園内の自然は回復してきています。ブナはヤマハンノキとシラカンバの林の下に植えられていますが、その下ですくすくと育っています。ブナの木は他の樹木の下でも育つことができる木です。そして、ヤマハンノキとシラカンバの落葉で、この場所の土は年々豊かになります。
現在、この森を使って、大学生や研究者の人たちが、動物や微生物を調べたり、樹木の生長やそれにともなう環境条件の変化、生物相の変化などを研究しています。このように、樹木園は自然がどのように変化して菅平本来の自然に戻っていくのかを研究する場所として使われています。 |