コマロフ植物研究所ズルベンコ博士(地衣生菌研究者)来訪しました
2017年3月28日
国立科学博物館植物研究部の大村嘉人博士の研究室に日本学術振興会外国人招へい研究者として来訪中の、ロシアのコマロフ植物研究所
(KomarovBotanical Institute, Russia)のミハイル・ズルベンコ(Mikhail Zhurbenko)博士が、3月21−23日の2泊3日の旅程で来訪されました。
ズルベンコ博士は、地衣類(菌類と藻類とが共生した複合生物)の上に特異的に発生する地衣生菌(Lichenicolous fungi)の分類学を専門とされる
世界的に著名な研究者で、ロシア、ヨーロッパ、アジアをフィールドに、数多くの地衣生菌に関する論文を発表されています。
菅平ではここ数日、かなり雪融けが進んで春めいていたのですが、21日からの降雪で真冬の景色に舞い戻ってしまいました。3月22日は
一面白銀の世界という感じでしたが、科博の大村博士をはじめ、日本で地衣生菌の研究を手掛けられている埼玉県自然学習センターの田留健介さん、
当センターで地衣内生菌の研究を進めている大学院生の升本宙君、および、山田宗樹君、出川とともに、センターのフィールドに出て、屋外で地衣生菌を
探す方法について、ズルベンコ博士から直接指導をして頂く好機に恵まれました。サンクトペテルブルクにある研究所に勤められているズルベンコ博士も
厳寒期のこの日の菅平の寒さに驚いておられましたが、地衣生菌を次々発見され、目の付け所や観察手法など多くを学ばせて頂きました。午後からは、
実験室で、採集した地衣生菌を観察する方法についてご教授頂き、夜は、ちゃんちゃ焼きを囲んで、地衣生菌談義で盛り上がりました。
翌日は、菅平セミナーの特別篇として、ズルベンコ博士に、「Lichenicolous fungi: review of the group and prospects for
their study in Japan」と題するご講演をして頂き、分野を問わず参加したセンターの教職員、学生達からの活発な質疑応答がありました。
また地衣類の勉強をされている菅平ナチュラリストの会の市民ボランティアスタッフ松崎務さんからも積極的な質問や地衣生菌らしきものの写真の
問い合わせもあり、ズルベンコ博士も熱心に応答されていました。皆で賑やかに食堂で昼食をとったのち、博士ご一行はつくばへと帰途につかれました。
このような機会を設けて下さった国立科学博物館の大村博士に感謝致します。(出川記)
一面の雪景色の中での地衣生菌観察
撮影:国立科学博物館大村嘉人博士
樹皮に付く地衣類の付く地衣生菌を丹念にルーペで観察します
撮影:国立科学博物館大村嘉人博士
地衣生菌がみつかって笑顔のズルベンコ博士
実験室内での顕微鏡観察方法の伝授!
撮影:国立科学博物館大村嘉人博士
菅平セミナーでのズルベンコ博士のレクチャー
昼食会での交流の様子
撮影:国立科学博物館大村嘉人博士
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