町田研究室、筑波大学−DAADパートナーシッププログラムで訪独
2014年9月4日〜12日
平成26年度 筑波大学−ドイツ学術交流会(DAAD)パートナーシッププログラムのもと、
町田龍一郎教授の昆虫比較発生学研究室は、ドイツ・イエナ大学のロルフ・ボイテル教授の昆虫比較形態学研究室と
ボン大学のベルンハルト・ミゾフ教授の昆虫ファイロゲノミクス研究室の間で共同研究を行っています。
テーマは「六脚類(広義の昆虫類)のグラウンドプラン、高次系統の再構築−比較発生学、形態学とファイロゲノミクスの統合−」です。
進化を論じるのに重要な比較発生学、比較形態学、ファイロゲノミクスという3様の観点を統合することで、
「六脚類とは何か?」を論じようとするものです。焦点を当てるのは、翅をまだ獲得していない原始昆虫である「無翅昆虫類」、
昆虫類の98%を占める新翅類の初期分岐群である「多新翅類」、昆虫類の40%をカバーする鞘翅目の原始系統群「始原亜目」です。
今回、筑波大学−DAADパートナーシッププログラムの一環として、9月4日〜12日の日程で訪独しました。
町田教授の他、ポスドクのセンター非常勤職員真下雄太さん、生命環境科学研究科生物科学専攻博士後期課程3年富塚茂和さん、
同2年藤田麻里さん、生命環境学群生物学類4年小嶋一輝さんが参加、また、研究室出身の愛媛大学福井眞生子助教も同行しました。
イエナ大学系統学博物館では町田研究室とボイテル研究室の研究共同発表会を行ない、
それぞれの研究テーマについて活発な議論を交わしました。今後の共同研究の具体的な方向性が明らかになり、多新翅類のジュズヒゲムシ目、
ゴキブリ目、そして始原亜目甲虫に関する新たな共同研究が始動することになります。
また、ボイテル研究室の得意とする形態学的手法の手解きを受けました。7日、町田教授、富塚さんおよび福井助教はゲルリッツに移動、
ゼンケンベルグ自然史博物館で開かれる第9回国際無翅昆虫類セミナーに参加(その様子はこちら)。ボン大学のマルクス・コッホ博士などと無翅昆虫類の
系統進化について議論を発展させ、無翅昆虫類の内顎類の系統進化に関し共同研究を行うことになりました。
筑波大学−DAADパートナーシッププログラムでの成果が大いに期待されます。成果はこのHPでも発信していきます。
イエナ大学は比較発生学の推進者エルンスト・ヘッケル Ernst HAECKEL が所属、研究を行ったところです。
イエナの街にはエルンスト・ヘッケル通Ernst-Haeckel-Straße、
彼の自宅であったエルンスト・ヘッケル・ハウス Ernst-Haeckel-Haus があります。比較発生学を志す者にとっては、
まさにイエナは「特別な場所」です。ヘッケルが用いた書斎、彼が使った器物・・・、そして彼が自身の学問を発展させたであろう空間、
彼が1907年に創設した系統学博物館Phyletisches Museumに身をおいた時間は、私たちにとって忘れがたいものとなりました。
系統学博物館前での記念撮影
右から3番目:ロルフ・ボイテル教授
左端:ボイテル教授研究室のベンヤミン・ビップフラー博士
各自が研究発表をおこないました
エルンスト・ヘッケルの書斎(エルンスト・ヘッケル・ハウス)
エルンスト・ヘッケル通
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